極めつづけるこだわりの銘品・人物を
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2023.11.15
要介護5からの奇跡
139日の「旅」で証明した愛の力
「おはよう。」からはじまる139通、妻へ届ける毎日の手紙
出先で妻が倒れた。病院に運ばれ、一命を取り留めたが、「要介護度」は最も重度な「要介護5」。日常生活のほぼすべてにサポートが必要な状態だという。「もう以前の状態には戻らない。覚悟を決めよう。命さえあればいい」と思うこともあった。
面会も思うようにならないコロナ禍の中。妻への手紙を書きながら自分を奮い立たせ、手紙を届けることを日課にした。
実際に書いた手紙
コロナ禍の対応に一喜一憂
毎日、手紙をそっと届ける配達人を「ご主人の愛がいちばん」と好意的に見てくれた人がいれば、「規則だから困る」と邪険にした人もいた。
目の前の患者に起こる奇跡を見ようともせず目に見えないコロナ禍に怯えている人に心を砕かれ、わずかの変化にも目を配り患者と家族のためにできることをしようとした人に救われた。
早朝、手紙を書く時間が至福の時。時には、「君との出会い」からデート、プロポーズ、転勤、転職など、記憶を呼び起こすように昔を懐かしむ題材も書き綴った。「こんなことあったよね」と語りあうような楽しい時間。
入院から8か月後、出先で食事を楽しむ小山夫妻
あきらめなければ奇跡は起こる
約5か月に及んだ長い旅のゴール条件は、「言葉を発する」「食事が一人でできる」「自分で歩ける」の3つ。すべてを見事にクリアした。
「要介護度5」だろうと、あきらめなければ元気で日常生活ができる。「焦るな。少しずつ」。この体験が、世の中の多くの人に希望と勇気を与えてくれるだろう。奇跡は「家族の愛」と「感謝の心」で起きると証明した。多くの人に「ありがとう」と伝えたい。
長い旅路は、新たな生活の準備と覚悟のための「心の時間」。リハビリという夫婦共通の趣味を持って、新しい二人の旅を楽しもう。