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2025.04.28
小林さゆりさん 日本ALS 協会長野支部 支部長
ALSという難病と共に歩む

「生きる」道を開いた先駆者
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、体を動かす神経の障害で、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく難病です。発症の原因は解明されていません。
小林さゆりさんは、前例がなかった24時間他人介護を認めてもらうため一人暮らしを実現し、重度訪問介護の制度を利用して「生きる」道を開きました。現在は同居家族がいても、障害の区分や状況に応じて24時間の重度訪問介護が認められるようになりました。
小林さんはALS協会長野支部長としてALSや重度難病患者の集まりに出向くなど、重度訪問介護制度が必要な人にノウハウを伝える活動をしています。

小林さんに趣味をたずねたら、目線を動かして一文字ずつ追っていきながら、パソコンの画面に「音楽を聴いたり、映画を見たり、カフェ巡りをすることです」と答えてくれました。アイドルグループの「嵐が好き」だそうで、壁には推しグッズが並んでいました。

病名 役割を分担してサポートしあう生活
話す機能の障害にはパソコンを使い、呼吸を呼吸器でサポートし、食べる機能の障害は胃ろうでサポートして、体を動かす機能の障害を介助者がサポートする。
障がい者本人が雇用するという考え方を基本にする「自薦ヘルパー」が常時対応する介護で「その人らしい生活」を可能にしながら、ヘルパーはALS特有の特殊な介護に慣れ、プロフェッショナルとして育っているそうです。


目の前で燃え続けている“いのち”
特定非営利活動法人 広域協会で支援コーディネーターを務める吉村まきさんは、「さゆりさんが“いきる”を全身で発信する姿は、何か人の手が及ばない人間の生きる力のようなものを感じることがある。それは目の前の燃え続けているいのちを感じるから。人がどうこうできるものではない大いなる力というか、人間の力の及ばない領域への畏怖の念のようなものがある。そして、それを目の前で見せつけられる瞬間があるような気がする」と言います。
誰もが幸せになれる可能性を持っている
日本ALS協会長野県支部の原山あかね事務局長は、「小林さゆりさんや同じ病気を抱える方々から教えられる事が沢山ありました。『ALSは、身体は不自由でも心は自由で幸せ』。どんなに大変な状況があっても誰もが幸せになれる可能性を持っている!そんな信念を持って20年以上活動しています」と言います。
さまざまな機器や人的サポートがあって営む生活。それぞれ役割を分担し、みんなの顔が輝いていたのが印象的でした。